中国にとって「法律」は「光の剣」か「闇の剣」か

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第390回)

 『人民日報』2026年7月30日付1面に「法治が光の剣:サイバー暴力の厳罰化((法治亮剣,厳懲網絡暴力)」という記事が掲載されました。中国政府は「反サイバー暴力法(反網絡暴力法)」草案を公表し、ネット上の個人や組織の正当な権利と利益の保護を表明しているそうです。近年、デマの拡散などのネット上の暴力問題が頻繁に起こっており、人々に深刻な懸念を与えていますが、この火種を消すことが目的だと述べられています。
 さらに、よい法律は「光の剣」であり、法治の剣がサイバー暴力という悪を断ち切るとこの記事はまとめています。これだけ見ると、非常にいい話のように思えますが、最後の一文が気になります。つまり、よい法律が「光の剣」であると認めていることです。逆に悪法は「闇の剣」になると認めているようにも思えます。例えば、この反サイバー暴力法も、ネット上で中国政府が嫌がる発言をより強く取り締まるために使われないのか、いわゆる政府批判の権利、言論の自由への萎縮など市民を切り付ける「闇の剣」にもなり得るということです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。