来秋の沖縄県知事選の保守系候補は古謝氏が有力に

 若手経営者や学生らでつくる「げんたに沖縄の未来を託す次世代のつどい」は15日、那覇市副市長の古謝玄太氏(42)と面談し、来年9月に予定される沖縄知事選への立候補を要請した。要請書を受け取った古謝氏は「私の経験を評価していただきありがたい。非常に大きな決断なので家族や職場、支援者と相談しながら判断したい」などと述べた。
 来秋の県知事選に向けては、経済団体トップや保守系首長など13人で構成する選考委員会(金城克也委員長・沖縄県経済団体会議議長)が今月7日から21日まで、希望者を公募している。この方法を採用した背景には、過去3回の県知事選では「革新系VS保守系」という視点が強くなった結果、県政を託す人物を政策で判断するとはならかったことが関係している。革新系からは「ほかに候補者が見当たらない」(ある地元経済人)ことから現職の玉城デニー氏(66)の立候補が確実視されている。「玉城陣営は、これまでと同様に『革新系VS保守系』を前面に出して選挙戦に臨むだろう。それだけに保守系候補が政党職を出さないことが勝つための第一条件になる」(先の地元経済人)という見方は多い。
 同委員会の公募に古謝氏は前向きとも伝えられているが、経済界の多くが那覇市長の知念覚氏(62)の出馬を望んでいる。経済界には「次期県知事選は、まだ若い古謝氏ではなく那覇市長として実績があり、行政経験も豊富な知念氏の方がふさわしいのではないか」という意見が根強くある。また「沖縄の県知事には、地域振興の要望で国とも戦う姿勢が望まれる。果たして、古謝氏がその資質を持ち合わせているのか未知数」(別の地元経済人)という声も聞かれる。この点、知念氏の県知事選出馬を望む人たちは、総務部長や政策統括調整官を経て副市長を務めるなど市政運営の実績が豊富な点を重視しているようだ。
 他方、先の地元経済人は「知念氏が自ら応募しなかった場合、一気に古謝氏に支持が集まるきっかけになる」とみる。実際、知念氏は近い人たちに対して「那覇市長として那覇市の活性化に尽すことが自分の役割」という趣旨の発言をしているとされ、2期目への意欲は強い。さらに知念氏は、古謝氏の知事就任を全面的にバックアップする姿勢をみせている。つまり、公募には他薦の可能性もあるが、その場合でも知念氏は立つ意志がないことを示していることになる。
 古謝氏は3年前の参院選で落選したものの現職に肉薄した実績はあるが「参院選と県知事選とは全くの別物」と多くの地元経済人が口をそろえる。県知事選前には前哨戦として複数の市長選があるが、県知事選の戦い方にどういった影響を与えるかにも関心が集まる。選考委員会にとって「強い現職に勝てる候補」の選定は必須なだけに古謝氏が保守系候補の軸になるためには、知念氏の意向と動きが強く関係することは間違いない。公募には古謝氏のほかに、シンバホールディングス会長の安里繁信氏(56)、元県議会議長の赤嶺昇氏(58)といった名前も挙がっている。