2030年までに社会全体に法治を堅持
2026年07月29日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第389回)
『人民日報』2026年7月28日付1面に「中国共産党中央委員会と国務院、『中国共産党中央宣伝部と司法部による法治宣伝教育の第9次五カ年計画(2026~2030年)』を発出(中共中央国務院転発《中央宣伝部、司法部関于開展法治宣伝教育的第九個五年規画(2026—2030年)》)」という記事が掲載されました。中国共産党中央委員会と国務院は、昨今、各地域・部門に対し、『中国共産党中央宣伝部と司法部による法治宣伝教育の第9次五カ年計画(2026~2030年)』をそれぞれの実情に照らして真摯(しんし)に実施するよう求める通知を発出したとのことです。
この『中国共産党中央宣伝部と司法部による法治宣伝教育の第9次五カ年計画(2026~2030年)』は、非常に膨大な量があるため、そのすべてをここで確認することはできません。ここでは、この計画の一部を見ていきましょう。
計画の第1項「全体的な要求」の項目には、2030年までに、指導幹部の法治能力と国民の法意識は引き続き向上し、社会全体が法治を堅持し、規則を順守し、契約を尊重し、正義を守る好ましい環境がさらに形成されるものとしています。その上で、法の宣伝教育は法治と法の実践に深く統合され、国家を全面的に法治するための社会基盤がさらに強化され、「法を執行する者は法の普及に責任を負う」という責任制度を徹底的に実施し、法の広報・教育活動の制度化、標準化、科学化を包括的に改善すると規定されています。
法治を堅持し、「正義を守る」とは、これまで中国当局が批判してきた西洋型法治にとっての「あるべき姿」です。この点からすると、中国は急激に西洋型法治を導入しようとしているようにも見えます。しかし、西洋型法治と、特定の政党(中国共産党)による一党独裁は両立しないものなので、結局は西洋型法治を受け入れたかのように記載しているだけでょう。すると『中国共産党中央宣伝部と司法部による法治宣伝教育の第9次五カ年計画(2026~2030年)』の内容は「ウソツキ」となるのか、今後の中国当局にとっての法の位置づけが注目されます。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


