法典時代の企業の環境責任

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第383回)

 中国の全国人民代表大会ウェブサイトで、2026年7月3日に「法典の時代において、企業はいかにして生態環境責任を果たすことができるのか?(法典時代,企業如何守好生態環保“責任関”?)」という記事が公開されました(注1)。これによれば、環境保護法典には「企業」という言葉が202回、「企業及び公共機関」が97回登場しており、これは企業が環境保護法典の法的義務を履行し、法的責任を負う主体であることを示しているとしています。
 このウェブ記事は、企業は生産・操業活動において大量のエネルギーと原材料を消費し、汚染物質の排出や資源消費を直接的に引き起こし、これが、生態系・環境問題の重要な原因の一つであり、このような事態が発生した場合に、「損害賠償責任」を負わせるのが、生態環境法典に規定された基本原則であると続けています。そして、このような法治主義の枠組みの中で企業発展と環境保護を調和させるべきであるとしています。
 しかし、企業に責任を負わせるだけで、環境問題が解決するのでしょうか。日本などでは、環境政策と言えば、政府が二酸化炭素排出削減の数値目標などを決めたりして、その目標を達成するようにしたりしますが、中国では企業の賠償責任のみにスポットライトが当たっているようです。
 確かに、一時期と比べれば中国の環境状態は劇的に改善していると言えます。それであっても、環境問題を企業の責任問題とばかりで捉える中国の環境問題が今後はどのようになるのか注視したいところです。

〈注〉
(1)「法典時代,企業如何守好生態環保“責任関”?」(全国人民代表大会ウェブサイト)〈http://www.npc.gov.cn/npc/c2/kgfb/202607/t20260703_456067.html〉2026年7月3日更新、2026年7月7日閲覧。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。