安徽省で金融司法フォーラム
2025年11月21日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第323回)
『人民法院報』2025年11月19日付4面に「第4回長江デルタ金融司法フォーラムが合肥で開催(第四届長三角金融司法論壇在合肥挙行)」という記事が掲載されました。これによれば、11月12日から13日にかけて「グリーン発展理念に基づく金融司法の対応と保障(緑色発展理念下的金融司法回応和保障)」をテーマに金融司法フォーラムが安徽(あんき)省合肥(こうひ)市で開催されたそうです。
このフォーラムでは共催した五つの人民法院(裁判所)が共同で「長江デルタ金融裁判典型事例(2024-2025)(長三角金融審判典型案例(2024-2025))」を選定・発表し、長江デルタ地域の金融裁判基準を統一し、地域金融司法の協調的発展を推進し、地域内の金融資源の効率的な配分、金融リスクの予防・解消、実体経済の高品質発展の促進を図ろうとしているとしています。
公開された事例のうちの1件は、某社取締役社長複数人は、必要な準備を経ず、証券市場に対し実行可能性のない株式買い増し公約を軽率に表明した上、リスク提示を行わなかったばかりか、虚偽・誤解を招く情報を繰り返し発信し、市場と投資家を著しく誤導したとして、証券虚偽陳述による共同不法行為を構成し、投資家の損失に対し共同で民事賠償責任を負うべきであるとして、投資の損害50万元の賠償を命じられたというものでした。
中国も投資に関する公平性・透明性を上げようとしているようです。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


