赤字膨らむ武雄アジア大運営の旭学園
2026年07月14日
今春開学した武雄アジア大などを運営する旭学園(佐賀市)が2025年度(令和7年度)の決算を発表した。決算書によると、同学園の昨年度の「事業活動収入」は約39億8000万円、「事業活動支出」は約23億5000万円と一見黒字のように見えるが、これは佐賀県や武雄市から補助金として受け取っている約19億5500万円の施設設備補助金(特別収入)が寄与していることが大きく、収入から施設設備補助金を差し引いた額(約20億2500万円)から支出を引くと約3億円の赤字となる。また、通常活動による現金の出入りを示す経常収支差額は、24年度のマイナス1億184万円からマイナス2億6885万円へ悪化し、また、経常収支差額比率はー5.3%からー13.3%へ落ち込むなど全国平均のマイナス7.4%を大きく下回る状況だ。さらに、累積赤字にあたる繰越収支差額は24年度のマイナス30億6867万円から昨年度はマイナス35億8345万円へ約5億1400万円悪化するなど、他の地方学校法人と同じく非常に厳しい状況だ。同学園の「令和7年度事業報告書」の経営状況の分析でも「貸借対照表を見ると総資産の額は徐々に低下傾向にあったが、武雄アジア大学の建設により大幅に増加したものの、結果的には減価償却分を全ては賄えていない」と厳しい経営状態を自ら認めている。
そこに、本年度から4月に開学した「武雄アジア大」の運営が加わる。同大は昨年秋に文科省から設置認可された新設大で、県内に4年制大が2校しかなく若年層の流出に悩む県にとって3校目となる待望の4年制大だ。学部は、国際理解や地域理解、経済・経営の素養を身につけ、地域共創を実現する人材を育成する「東アジア地域共創学科」(定員140人)を有する。佐賀県西部には4年制大がなく地元の期待も大きかったが、今春開学した時点で入学者が37人と定員の3割を満たせなかった。経常収支や繰越収支差額の赤字額が膨らむなかで、武雄アジア大は厳しい船出となった。
旭学園は反転攻勢の一手として、事業報告書では「武雄アジア大学は、入学希望者を獲得するための取組を強化する」と述べているが、大学運営を安定させる基本となる学生の確保の見通しは依然不透明だ。運転資金に余裕がないなかで、従来のような大規模な広告やイベント開催だけでは限界がある。ある大学関係者は「日本人学生が集まらず、安易に外国人留学生で定員を満たせば、当初の開設目的の一つだった『大学進学者の約8割が県外流出する佐賀の高校生に学びの選択肢を提供する』という大前提が崩れかねない」と警鐘を鳴らす。
他方、以前より「佐賀という立地だから学生が集まらないのでは」との声も多かったが、同じく今春開設した佐賀大の「コスメティックサイエンス学環」は、前期日程の募集人数18人に対し倍率7.3倍、後期日程は25.6倍という高倍率を記録した。「佐賀大のコスメ学環は県や唐津市、大手化粧品メーカーとの連携、資格取得、卒業後の進路などが具体的だったため、大都市圏からの進学者も少なくなかったと聞く」(先述の大学関係者)など、下馬評を覆すほど学生が集まった。武雄アジア大も、最近になって複数の地場企業や地元自治体、高校との協定を締結し始めた。少子化が進むなか、今後、同大が踏みとどまれるのか否か、予断を許さない状況が続く。


