話題の「3元食堂」設立の法的根拠
2026年06月10日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第375回)
中国では最近、3元(約60円)で食べられる朝食が人気です。中国の経済不調を象徴しているとも報じられています(注1)。この点については「人口減少と超高速の高齢化による都市部を中心とした経済不安は、若者を中心に不満をうっ積させており“第二の天安門事件”が起きかねないリスクを常にはらんでいる」という指摘すらあるほどです(注2)。
しかし、この3元で食べられる朝食は、中国の各地方政府が主導で進めている面もあります。実際、中国のかなりの数の都市では、3元で朝食を提供する食堂を設立した場合、補助金を出すという政策が発出されています。中国の場合、政策にも法律に類似する効力があるため、各地方政府が政策を用いて3元朝食を提供する食堂の設立を促進していたということです。
もっとも、その3元食堂設立促進の具体的な政策については、公開されていないようです。詳細な内容は分からないものの(注3)、中国各地の報道によれば、各都市の政策には「朝食を3元で提供すること」や「食堂の最低限の面積」、「最低限の営業時間」などが規定されており、要件に合致した3元食堂に補助金が支払われているようです。
さて、中国の一般人は、各地方政府が3元食堂の設立を支援していることを知っているのでしょうか。もし、多くの人に知られているとしたら、自分たちの生活のことをしっかりと政府は知ってくれているという安心感につながり、不満にはならないようにも見えます。このように、中国社会の評価とはどのようにも取れる面があります。
〈注〉
(1) 「中国絶望経済14億人の断末魔 『60円朝食』が象徴するデフレ大不況で“第二の天安門事件”の危機感も」(ピンズバNEWSウェブサイト)〈https://pinzuba.news/articles/-/16230?page=1〉2026年6月9日更新、2026年6月10日閲覧。
(2) 「中国絶望経済14億人の断末魔 『60円朝食』が象徴するデフレ大不況で“第二の天安門事件”の危機感も」(ピンズバNEWSウェブサイト)〈https://pinzuba.news/articles/-/16230?page=2〉2026年6月9日更新、2026年6月10日閲覧。
(3) 中国の法的効力を持つ政策にも、非公開となっているものがあるとされています。高橋孝治『中国社会の法社会学――「無秩序」の奥にある法則の探究』明石書店、2019年、159頁。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


