憲法記念日に発表された「法治」論
2025年12月05日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第327回)
12月4日は中国の憲法記念日でした。現在、中国で施行されている「憲法」は1982年12月4日に公布・施行されたのです(憲法の公布日と施行日が同じというのは少しすごいですが…)。
これもあって『人民日報』2025年12月4日付1面には「法治を尊び、法治を厳格に実行する——第12回国家憲法記念日に際して(尊崇法治 励行法治——写在第十二個国家憲法日)」という記事が掲載されました。この記事では、中国にとっての「法治」の重要性が書かれています。しかし、その内容は、この連載でも何度も指摘している「法治」を「たとえ国民に悪法であっても法を強要するもの」、すなわち国家の思う通り国民に行動を強制するものという理解が前提にあり、日本などが理解している「法治」とは温度差のあるものになっています。
しかし、そのような「法治」の解説がなされつつも、この記事では「法に基づく補償と法に基づく再配置を堅持し、全過程での人民民主を実践し、法律顧問や住民代表など多様な主体が集まって協議を行い、住民の知る権利、参加権、監督権を保障し、法治的思考と法治的手法を用いて、良いことを確実に、着実に成し遂げるのである」という一文も見られます。これは中国共産党の機関紙である『人民日報』という媒体において、珍しく「住民の知る権利」や「参加権」など市民の権利へ言及したものと言えます。このような表現がなされていることから、中国当局の「法治」観もやや変わりつつあるのかもしれません。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


