北京第二中学で「法教育講座」

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第400回)

 『人民法院報』2026年9月8日付1面に「成長の法則を理解し、法治信仰を堅持する(把握成長規律 堅定法治信仰)」という記事が掲載されました。これによれば、9月7日午後、北京第二中学の法務担当副校長も務める最高人民法院院長兼党委員会書記の張軍氏が9回目の訪問として同校を訪れ、新学期最初の法教育講座を教職員、生徒、保護者に向けて開講したとのことです。これについては、習近平・総書記による未成年者の権利保護と犯罪防止・抑制に関する一連の重要指示の具体化であり、未成年者から始め、法教育に関する「第9次五カ年計画」の具体的実行であるとしています。
 張軍は講演の中で、具体的な事例を挙げながら「思春期は、未成年者が社会へと移行し、成長していく上で極めて重要な時期です。子どもたちが十分な準備をせず、家庭、学校、社会からの養育、教育、支援が追いつかないと、道を誤ってしまう可能性があります」と説明し、「面子」を過度に気にすることは、しばしば「面子の喪失」を招くとも語ったそうです。続けて、思春期の若者は、否定的な評価に極めて敏感ですが、「面子」は違法行為によって得られるものではなく、他人との比較や「見せかけ」によって維持できるものでもなく、未成年者たちは「面子」を追い求めるあまり結果を顧みず、自尊心を守ろうとしたように見えましたが、実際には自分の感情、価値観、そして選択を他人に委ねていたという事例を紹介したとのことです。
 未成年のうちから「法治」を順守するような教育を行うことは、一定の評価はできます。しかし、現在の中国が目指している「法治」からすると、未成年者にも政府に都合のよい、市民から見ると「悪法」にも従わなければならないという思想を押しつけている面があります。このような教育で中国の一般大衆の考え方はどうなるのか、今後の変化が注目されます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。