習政権下で「思想教育」復活か

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第330回)

 『人民日報』20025年12月16日付1面に「未成年者の思想道徳教育を戦略的かつ基礎的な事業として堅持し、協力して未成年者の健全な成長のための良好な社会環境を整備する(堅持把未成年人思想道德建設作為戦略性基礎性工作来抓 合力為未成年人健康成長営造良好社会環境)」という記事が掲載されました。党第18回全国代表大会以来、党中央は未成年者の思想道徳教育を重視し、多角的な措置を講じて各方面の事業に新たな進展と成果をもたらしてきたとのことです。
 さらに、習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想で根幹を養い、魂を鍛えることを持続的に推進し、学校・家庭・社会の協働による教育メカニズムを健全化し、広範な未成年者に遠大な理想を掲げさせ、社会主義中核的価値観を実践させていると述べています。中国では、未成年者に習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想で魂を鍛えているのだそうです。これは文字としては「道徳教育」となりますが、その実態は「中国当局にとって都合のいい考え方を持つ者の育成」、すなわち「思想教育」であると思われます。このような社会主義国の思想教育は、中国においては毛沢東時代にはよく行われていました。当時の中国社会では、社会主義思想を持ってもらわないと困るからです。
 しかし、中国の経済発展と共に、そのような思想教育は行われなくなっていました。筆者の耳にも、まだ思想教育が強くなったなどの話は入ってきていませんが、中国は広いので、思想教育が強く行われている地方も当然にあると思われます。未成年時代から強化された思想教育を受けた人々がどのような中国社会をつくるのか長い視点での観察が必要であると思われます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。