獲れたてのやんばるの魚を高鮮度輸送
2026年05月21日
沖縄県国頭漁業協同組合、沖縄県漁業協同組合連合会、高砂熱学工業(東京)、フーディソン(同)、日本航空(同)、YKK(同)、函館地域産業振興財団(北海道立工業技術センター)の7者は2月、沖縄本島最北端にある国頭漁協で獲れた鮮魚を、独自の冷却技術と新梱包材を活用した航空輸送で首都圏や海外へ直輸送する「高鮮度輸送プロジェクト」を発表した。
同プロジェクトでは、村田佳久国頭漁協組合長をプロジェクトリーダーとする産地中心の体制のもと高砂熱学工業が海水シャーベットアイス製氷機「SIS-HF」技術を用いた輸送中の鮮度維持、フーディソンが生鮮品ECサイト「魚ポチ」を活用した飲食店評価と魚価向上の検証、YKKが防水ファスナー「AQUASEAL」を用いた新梱包材開発、日本航空が新梱包材を用いた航空輸送を担当している。さらには、沖縄県漁業協同組合連合会が販路紹介、函館地域産業振興財団(北海道立工業技術センター)が日本農林規格(JAS)にも採用される科学鮮度指標「K値」の社会実装と公的立場からの助言を進めるなど、産地の品質保証による競争力向上も図っている。
当初から同プロジェクトのサブリーダー役を担う高砂熱学工業の担当者は「漁港で使われる従来のカチ割り氷では、当たりムラが多く、魚を傷つけず均等に冷やすのが難しい。地域によっては無条件で高値が付くが、沖縄では鮮度低下に加え、産地や鮮やかな見た目などの先入観から努力しても低評価という不公平な状況が常態化していた」と話す。同社が提供する「SIS-HF」は、通常の氷と異なり、直径0.05ミリという滑らかなシャーベットで隙間なく魚を包み込むことで急速かつ均一な冷却を実現。通常の海水氷仕立てに比べ、最大2週間獲れたての鮮度を保つことができる。
もともとは電力などの2、3次産業用に使用されていた氷蓄熱空調技術を水産業に応用される形で開発した。産地での鮮度処理を徹底のもと、25年12月から東京をはじめ、バンコクや香港など国内外への試験輸送を重ね、水揚げから魚を凍らせず、均等急速に冷やし鮮度輸送することに成功させた(高砂熱学工業担当者)
今後はこの仕組みを国頭漁協から全国、海外へ広げ、事業としても数年内での収益化を目標に協議を重ねていく。昨今、一次産業の持続可能性が問われる中、このプロジェクトが示す産地と消費地を直結する仕組みは、水産業の新たな持続的発展につながる可能性がある。


