幸福の街・浙江省寧波市と「法治」
2026年01月21日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第338回)
『人民法院報』2026年1月20日付5面に「『幸福都市』の背景にある法治の暗号(『幸福城市』背后的法治密嗎)」という記事が掲載されました。16年連続で「最も幸福感の高い都市」に選ばれ、7度連続で「全国文明都市」に認定されている浙江省寧波市では幸福な生活が続いており、そこには「法の支配」が貫かれている背景があるとされています。
特に、浙江省寧波市の人民法院(裁判所)は、人民中心の司法理念を深く実践し、「自分が訴えているかのように」という意識を裁判執行の全過程に組み込でいると伝えています。力強く温かみのある一連の司法判断と制度革新を通じて、消費、住宅、雇用などの民生分野における司法上の関心事に積極的に応え、社会の公平と正義を確固として守り、共同富裕モデル区と幸福で住みやすい都市を建設するための堅固な法治基盤を築いているのだそうです。
しかし「法の支配」とは、冷静に「法」のみに依拠して裁判や法の執行を行う、ということであり、そこに「温かみ」は必要ありません。ここから、やはり中国が述べている「法の支配」は、日本などにおける「法の支配」とは異なる定義がなされているものであるし、「法の支配」さえ行えば幸福になれる、という、とにかく「法の支配(法治)」を市民に行わせたい当局の意思が読み取れます。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


