抗日戦争勝利80周年と法律・正義・公平

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第301回)

 中国で抗日戦争(日中戦争)勝利80周年のパレードなどが行れているということは、日本でも報じられています。これに関して中国の『人民法院報』2025年9月4日付3面に「不朽の抗日精神を継承し、司法は人民のためにあるという初心を堅持する(赓续不朽抗戦精神 恪守司法為民初心)」という記事が掲載されました。これによれば、江西省上饒市広信区人民法院の王婧・法廷長は「新時代の人民裁判官として、現場の私に衝撃を与えたのは民族の感情への共鳴だけでなく、司法の使命への深い問いかけでした——かつての烈士たちが血潮をもって国土の尊厳を守ったように、今日私は忠誠をもって人民のための司法を実践し、法律で公平と正義を守らねばなりません」などと語ったということです。
 日中戦争勝利の記念が、現代中国の法律と正義・公平にどのように関係があるのかは全く分かりません。しかし、中国ではこのように全く関係ないことを結びつけて勢いで論ずるということはよくあることです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。