中国共産党の原理「大衆路線」

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第336回)

 『人民法院報』2026年1月12日付1面に「自らを改革する勇気を持って『窯洞の問い』に答える(勇于自我革命 答好『窑洞之問』)」という記事が掲載されました。これによれば、2026年の新年の際の年頭所感で習近平・国家主席は「党が興隆してこそ国は強くなる(党興方能国強)」と述べ、「初心と使命を堅持し、持続的に努力を重ね、延安の『洞窟の問い』に答え続け、人民に恥じない時代の答案を書き上げなければならない」と指摘したとのことです。
また、この記事では、2025年は「窯洞の問い」が提起されて80周年にあたると述べられています。80年前の夏の日、延安を訪れた民主人士である黄炎培は、毛沢東同志の窯洞に入り、「興るは勃然として、亡ぶは忽然たる」という歴史の周期律をいかに打破するかという「窯洞の問い」を投げかけ、毛沢東同志は「人民に政府を監督させる」と解決方法を示したとのことです。
 これは要するに、中華人民共和国建国前に「国を興しても、いつかは滅びるもの(それでは、新政権をつくることすら無駄では?)」と問われて、毛沢東は「人民が政府を監督することで(庶民目線の政治を行うことで)そのような問題は解決できる」と述べたという意味です。中国共産党は「大衆路線」を掲げていますが、その根源の思想とも言えます。
 しかし、このような話を習近平・国家主席が挙げること自体が、各地方の党支部に、中国共産党の原理を思い出させる、逆に言うと、現在の党は「大衆路線」ができていないということを認めているようにも思えます(実際、「腐敗」など「大衆路線」からはほど遠いように思えますが)。このような「大衆路線」を思い出させないと、党も国も滅ぶという習近平・国家主席の焦りが表れているのではないでしょうか。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。