イノベーション産業深化に関する通知
2026年10月26日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第412回)
『人民日報』2026年10月22日付1面に「中国共産党中央弁公庁と国務院弁公庁による科学技術イノベーションおよび産業イノベーションの深い融合の促進に関する意見(中共中央弁公庁国務院弁公庁関于推動科技創新和産業創新深度融合的意見)」という記事が掲載されました。これによれば、科学技術イノベーションと産業イノベーションの深い融合を促進するため、中国共産党中央と国務院の承認を経て新しい意見が発布されたとのことです。
この意見によれば「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を堅持し、中国共産党第20回全国代表大会および党中央委員会全体会議の精神を全面的に貫徹し、第4回全体会議の決定事項を真摯に実行に移し、イノベーション主導型発展戦略を深く推進し、「新質生産力」の発展と現代産業体系の構築を目指し、企業が主導し、産学研(産業界・学界・研究機関)の各主体が連携するイノベーション・エコシステムの構築に注力し、全チェーンの連結、全分野の網羅、全要素の統合、全方位的な支援を実現するのだそうです。
この意見では特に「科学技術の強みから産業の強みへ、さらには経済の強み、国家の強みへとつなげていく」という表現もなされています。要するに科学技術の発展を産業強化、経済大国へとつなげることが目的のようです。
しかし、残念ながらその具体性については特に語られておらず、すでにロボット産業などで世界を驚かせている中国においてさらなる科学技術の発展が短期的に可能なのか、それが産業に発展するのかなど疑問は残ります。イノベーションという言葉でなんとなくの経済発展を目指すことを述べるだけで具体性のない意見のように見えます。この意見を見た中国の産業界がどのように反応するのか注目されます。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


