電気自動車の交流代金返還訴訟

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第334回)

 『人民法院報』2026年1月6日付3面に「電動自転車が頻繁に自動停止、消費者が返品・返金を請求(電動車頻頻自動停車、消費者訴請退貨退款)」という記事が掲載されました。電気自動車が断続的に停止するという現象が発生し、これが品質問題に該当するとして、人民法院(裁判所)が事業者に消費者への車両代金21,500元の返還が命じたとのことです(重慶市永川区人民法院判決)。
 この裁判の発端は、購入した電気自動車が頻繁に停止するものの、自動車販売店は重大な品質問題に該当しないため返金・返品の対象とはならず、車両メーカーのアフターサービス問題であるとして返金を拒否したため、購入者が人民法院に提訴したとのことです。人民法院でもこの電気自動車は品質が基準をクリアしていないと認定されましたが、この電気自動車はすでに1万キロ以上走行していました。そのため、本当に購入時点から問題があったのかという点には疑問があるものの、購入代金2万1500元の返還がそのまま命じられました。
 中国は社会主義国家であるため、庶民有利な判断がなされやすい傾向にありますが、その一環にあたる判断がなされた可能性もあります。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。