海南自由貿易港が「税関特別地域」として本格始動

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第331回)

 『人民日報』2025年12月18日付1面に「世界に影響力を持つ中国の特色ある自由貿易港の建設を加速する(加快建設具有世界影響力的中国特色自由貿易港)」という記事が掲載されました。同日に海南自由貿易港が全島で税関特別地域として正式に活動を開始したとのことです。中国当局は、これにより中国経済の発展に寄与すると期待しているようです。
 中華圏において「自由貿易港」という言葉は「香港」を連想させます。現在、中国研究の世界では、香港はいまだ経済面においては、中国に影響を与える側であると考えられていますが、中国はその香港の地位すら奪おうと考えているのかもしれません。中国の海南島が、本当に全島で香港並の自由貿易港になるのか統計データも含めて注視していきたいところです。
 ところで、この記事によれば、1978年12月18日は、中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議が開幕し、改革開放政策の始まりとなった日で、そのような記念日に、海南自由貿易港がさらなる活動を始めたということで「中国経済史にとって12月18日は忘れられない日となる」ともしています。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。