サイバーセキュリティーと法治

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第307回)

 『人民日報』2025年9月25日付19面に「法治的思考でサイバーセキュリティの新課題に対応する(以法治思維応対網絡安全新問題)」という記事が掲載されました。これによれば、中国は法の導入と保障という必要な策を講じることでサイバーセキュリティーについて大きな成果をあげてきたそうです。例えば、サイバーセキュリティー法などの規定に基づき、個人や法人はサイバーセキュリティーを脅かす行為を通報する権利を持つとしています。
 細かい点ですが、これまで中国では「法律に定めがあるから権利がある」という考え方を採用していると言われてきました(いわゆる「積み上げ型」)。これに対し、日本などは「禁止されていないから権利がある」という考え方を採用しているとされています(いわゆる「ブラックリスト型」)。そして、今回、この記事によって、やはり中国は積み上げ型の権利観を持っていたということが明らかとなりました。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。