法治教育の根拠は法治の方法で
2025年09月19日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第305回)
『人民日報』2025年9月18日付19面に「法治の種を青少年の心に根付かせ、芽吹かせる(譲法治種子在青少年心田生根発芽)」という記事が掲載されました。これによれば、先日「中華人民共和国法治宣伝教育法」が採択され、市民の法律への信仰を育む重要な法律で、法治の教育が法治の方法で行えるようになるとしています。
「法治教育」は、中国当局が繰り返し述べてきたことですが、ついに法治教育のための法律までつくってしまいました。しかし、いくら法律で「法治教育」を行うといっても、民主化を含めた真の意味での「法治」が実行されなければ無理があります。中国当局はむしろ「これが法治」と一般市民を信じ込ませる方向で「法治」ができるようにしているのではないでしょうか。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。