海南自由貿易区はタックスヘイブンか
2026年04月08日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第358回)
『人民日報』2026年4月7日付1面に「海南自由貿易港はタックスヘイブンになるのか?(海南自貿港会成為避税港嗎)」という記事が掲載されました。本コーナー第331回(2025年12月19日配信)「海南自由貿易港が『税関特別地域』として本格始動」でも述べたとおり、中国当局は海南島(海南省)を自由貿易港にしようとしています。そして、自由貿易港としての海南島は、タックスヘイブン(租税回避地域)になっているのでしょうか。
この記事によると海南省ではさまざまな免税品を購入することができるものの、消費者の年間購入限度額は10万元(約120万円)と定められており、この金額を超えた購入には輸入関税が課されるとのことです。また、代理購入も免税枠を営利目的に利用する行為であり、刑罰を科されるため注意が必要としています。
また、この記事によれば、中国当局としては、海南島をタックスヘイブンにするのではなく、国内外から海南が真に必要とする人材を誘致することが目的であるとしています。そのため、この要件を満たすハイエンド人材は、海南島では個人所得税率の優遇措置を受けられるとも述べています。
残念ながら、日本などではこのような特定の選ばれた者だけ税率が異なるというのは、租税の公平性を欠くため認められない可能性が高いです。しかし、中国においてはこのような公平性を害するような方法も認められるということでもあります。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


