「司法の独立」が見えない「公平な司法」
2026年06月24日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第379回)
『人民法院報』2026年6月22日付2面に「第15次五カ年計画期間における質の高い発展を公平な司法で支える(以公正司法服務保障“十五五”高質量発展)」という記事が掲載されました。これによれば、第15次五カ年計画は「あらゆる面で法治主義を堅持し、科学的な立法、厳格な法執行、公平な司法、そして法の普遍的な順守を相乗的に推進し、法治主義の根本的、安定的、長期的な保障的役割をより効果的に活用し、より高水準の社会主義法治国家を構築する」ことを明確に求めており、最高民法院の張軍院長は、第15次五カ年計画の順調なスタートのためには、厳格かつ公平な司法執行、質と効率の継続的な向上、そして強力な司法保障の提供が必要であると指摘しているとのことです。そして、これに関して、貴州省高級人民法院院長で党委員会書記の毛栄華氏の寄稿によれば、貴州省の人民法院は、一貫して党の政治建設を最優先事項とし「政治指導、基盤強化、責任遂行、卓越性追求」という活動原則を堅持しているとのことです。
これを見ても、結局、政治決定に対し、人民法院(裁判所)がそれに従うという形式となっています。よく考えてみると、中国では「厳格な法執行」や「公平な司法」が強調されることはあっても、「司法の独立」が強調されることはほとんどありません。「司法の独立」が意識されないまま「公平な司法」の実現は可能なのか、政治的決定への追従を優先している現状に、「公平な司法」はないようにも思えますが、結局、中国の論者はその点には気づかないということなのでしょう。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


