未成年者への思想教育
2026年01月23日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第339回)
『人民法院報』2026年1月21日付2面に「未成年者の思想道徳建設に対する法的保障の強化(加強未成年人思想道德建設的法治保障)」という記事が掲載されました。党と国家が一貫して未成年者の思想道徳建設を重視してきたと述べられています。具体的には、2022年に「未成年者の思想道徳建設の強化と改善」が党の第20回全国代表大会報告に盛り込まれ、2024年の全国教育大会で、習近平・総書記は「新時代の中国特色社会主義思想で魂を育み、人を育てることを粘り強く堅持し、新時代の立德樹人プロジェクトを実施しなければならない」と指摘したとのことです。
さらに昨年12月、習近平・総書記は未成年者の思想道徳建設について特に重要な指示を出しています。「新たな旅路において、立德樹人の根本的任務を着実に遂行し、未成年者の思想道徳建設を戦略的・基礎的な仕事として堅持し、新時代の中国特色社会主義思想で根を培い、魂を育むことを持続的に行い、学校・家庭・社会が共同して人を育てるメカニズムを健全化し、広範な未成年者に遠大な理想を樹立させ、社会主義中核的価値観を実践させ、良好な道徳的資質と行動習慣を身につけさせ、徳・知・体・美・労の全面的な発展を遂げた社会主義建設者・後継者となるよう努力させるべきであり、各級党委員会と政府は組織的指導を強化し、関係部門と群衆団体は職責を真摯に果たし、協力して未成年者の健全な成長のための良好な社会環境を整えなければならない」と述べたとのことです。
この習近平・総書記の言葉の中でポイントとなるのは「未成年者の思想道徳建設を戦略的・基礎的な仕事として堅持し、新時代の中国特色社会主義思想で根を培い、魂を育むことを持続的に行い」という点でしょう。未成年者に対し、社会主義思想で魂を育むというのは、言い方を変えれば、社会主義政権に対して都合のいい思考を植え付けるということです。かつて、社会主義国ではこのような思想統制は当たり前のように行われていました。しかし、旧ソビエト連邦の崩壊により、社会主義国のあり方のうち、その多くが誤りであったと分かっている現在においても、このようなことを高らかにうたう中国政府や中国共産党には驚きを隠せません。中国の若者は、特殊な思想の下で成長しているということは強く意識して中国と接する必要があるでしょう。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


