観光目的税導入の候補事業発表も複雑な反応

沖縄県は、県内の至る場所で観光目的税(宿泊税)の来年2月導入をPRしている

 「沖縄県観光振興戦略会議」(委員長・東恩納盛雄名桜大教授)は7月末、県が来年2月から導入する観光目的税(宿泊税)の使途候補として16事業を想定していることを初めて発表した。およそ半年後に迫った観光目的税の導入に向けた準備が順調のように見えるが、実態はそうとは言い切れないようだ。ある観光事業会社の社長は「県が重点分野に設定する項目から絞り込む工程は理解できる。しかし、本当に導入の目的に沿った内容なのかは引き続き精査が必要だろう」と慎重な姿勢を示す。
 発言にある重点分野とは①安全・安心で快適な観光の実現②旅行者・県民・観光事業者の満足度の高い受け入れ体制の充実・強化③環境・景観保全と観光地ブランドづくり④文化芸術の継承・発展およびスポーツ振興⑤持続可能な地域社会の発展(県民理解の向上)─という五つの柱を指す。さらに同会議は、宿泊税の導入を前提としてすでに進めていた事業のほか、第6次観光振興基本計画や沖縄観光推進ロードマップとの整合性も加味している。他方、同会議では「一般財源で行える事業を宿泊税の事業に置き換えるのはやめるべき」「高齢者や障害者など移動や施設の利用に配慮が必要な人たちに対する事業も必要」といった意見も出たという。
 この点について、ある旅行代理店社長は「一般財源と観光目的税という二つの財布ができたと都合のいい解釈をしないよう、県の各部署が新制度についてしっかりと理解することが大切。そうでなければ、特別徴収義務者である宿泊事業者の協力は求められない」とくぎを刺す。県観光政策課の担当者は「あくまでも現時点での候補であり、別の内容となる可能性もある」と説明する。県民から意見が多く寄せられている、環境美化や観光事業者の待遇改善、オーバーツーリズム対策に関する事業は、一般財源による施策との使い分けに考慮するという。具体的な項目は、11月までに決定する方針を示す。
 県が来年2月からの徴収開始を目指す観光目的税は、宿泊料の2%とする定率税。1人1泊当たり2000円を上限とし、修学旅行や部活動、スポーツ大会などに伴う宿泊の課税は免除される。また、離島住民が通院を目的として本島に宿泊する場合は、既存事業を活用して負担軽減が図られる。税収の配分は独自に導入する6市町村と県で3対2、そのほかの35市町村と県は1対1となる。県は徴収分からそれぞれの割合に応じて、各市町村に交付金として振り分ける。税収を充てる具体的な事業については、税収の見込みに応じて事業実施年度の予算編成時に検討される。