刑事裁判と民事裁判はいまだにつながっている

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第404回)

 『人民法院報』2026年9月24日付1面に「刑事事件における契約の有効性を明確に定義する:民事・刑法が交錯する事件の審理基準の統一(精准界定渉刑合同効力 統一民刑交叉裁判尺度)」という記事が掲載されました。これによれば、最高人民法院は、司法実務の経験を総括して2026年9月20日に「刑事事件を伴う民事紛争の審理に関する若干の問題についての規定(関于審理渉及刑事犯罪的民事糾紛案件若干問題的規定)」を発布したとのことです(法釋〔2026〕19号。2026年9月22日施行)。
 この規定は、民事・刑法が交錯する事件において、法適用基準の統一、当事者の正当な権利利益の効果的な保護、そして法治主義に基づくビジネス環境の最適化に向けた強力な司法保障を提供するとのことです。
 日本などにおいては、刑事裁判と民事裁判は別個独立した存在ということが当たり前の前提となっています。しかし、これまでも中国では刑事裁判と民事裁判の一体化ということが指摘されていました。今回の規定は、そのような刑事裁判と民事裁判には強いつながりがあることが2020年代の現在においても中国では一般的であると示した規定と言えます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。