党中央による新時代の審判業務

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第286回)

 『人民日報』2025年7月15日付1面に「中国共産党中央による新時代の審判業務の強化に関する意見(中共中央関于加強新時代審判工作的意見)」という記事が掲載されました。7月14日に発布された同意見では、人民法院は国家の司法機関であり、犯罪を処罰し、人民を保護し、判決を下し、正義を守る重要な機能を担っており、新時代の裁判業務を強化し、公正、効率的、権威ある社会主義司法制度の建設を加速するため、以下の意見を提出すると規定されています。そして、その意見とは、審判業務に対する党の指導の堅持と強化、厳格で公平な司法を通じて、質の高い発展と高度な安全保障の確保、紛争やその予防と解決の強化などです。
 後半は当然のことを言っているように見えますが、結局、審判に対する党の指導の強化も述べています。党の指導があっても公正な司法が実現できるのか注目点です。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。