党幹部はつらいよ

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第273回)

 『人民日報』2025年5月28日付4面に「規律と自由(紀律与自由)」という記事が掲載されました。これによれば、習近平・総書記は重要な講話として「規則と規律を守れば、役員や企業家には完全な自由と広い空間が与えられる」と述べたそうです。これは、中国共産党の党規律に関する話なので、党役員は、規則と規律を守らなければ自由はないと述べているのです。しかし、ここで「完全な自由」という表現が気になります。党役員が規則と規律を守らない場合、監視などのプライバシーが侵害されるとも読み取れます。
 習近平政権は、党幹部の汚職などを許さないスタイルなので、現在の党幹部はこのようなルールの下で暮らしているものと思われます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。