党と国家の各事業が新たな進展と成果

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第309回)

 『人民日報』2025年10月2日付1面に「中国式現代化のより輝かしい章を力強く綴(つづ)る(奮力譜写中国式現代化更加絢麗的篇章)」という記事が掲載されました。これによれば、中華人民共和国成立76周年記念レセプションで、習近平・総書記は重要な講話を読み上げ、中華民族の偉大な復興という戦略的全体構想と世界百年に一度の大変革という高みから、党が人民を率いて自力更生し、絶え間ない奮闘によって達成した偉大な成果を振り返って、今年に入って党と国家の各事業が新たな進展と成果を収めたことを評価し、 新時代の新たな旅路における党の中心任務の実現に向け明確な要求を示し、「党中央の周りにより緊密に団結し、意欲的に進取し、黙々と努力を重ね、中国式現代化のより輝かしい章を力強く書き綴ろう」と呼びかけたとしています。特に、社会主義現代化国家の全面的建設は、中華民族の古くからの願いと期待を託され、中国人民の奮闘と汗が結晶したものであるとのことです。
 結局、これらは毎年同じような言葉を言っているに過ぎず、むしろ、国慶節(10月1日の中華人民共和国成立宣言記念日)に限らず、中国の国家主席挨拶があるほどの大きなイベント時にはだいたいこのような言葉が繰り返されています。その意味で、現代の中国人がこのような講話をどれだけ真剣に聞いているのかは疑問が残ります。それでも現代中国を読み解く鍵があるのです。今回については特に「今年に入って党と国家の各事業が新たな進展と成果を収めたことを評価」が注目ポイントでしょう。何について述べているのかは分かりませんが、少なくとも、党と国家にとって重大な成果が得られたと考えている分野があるということです。これについては、そのうち別の講話などがでたときに「どのような分野について言っているのか」が分かるでしょう。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。