均一的な公共サービスの提供へ?

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第276回)

 『人民日報』2025年6月10日付1面に「中国共産党中央弁公庁および国務院による社会保障をさらに改善し、民衆の急な問題を解決することに関する意見(中共中央弁公庁国務院弁公庁関于進一歩保障和改善民生 着力解決群衆急難愁盼的意見)」という記事が掲載されました。今年3月2日に、この記事と同じタイトルの意見が発布されたことが述べられています(3月2日に発布された意見がなぜ6月の『人民日報』の1面を飾ったのかは不明です)。さらにこの意見は、社会保障の公平性の増強、公共サービスの均一性の向上などをうたっています。
 社会保障は国家の制度ですから公平性は確保できるでしょう。それでもこれまで中国は社会保障を地方政府に委託していたので地方ごとにバラツキがありました。さらに、公共サービスも各地方政府がやっていたので、その均一性などはこれまでほぼないと言っても過言ではないものでした。この意見が実行されるならば、中国の大きな構造改革が起こる可能性もあるでしょう。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。