24年度「物価高倒産」過去最多

 帝国データバンク福岡支店によると、2024年度に物価高が要因で倒産した九州・沖縄企業は前年度比25.6%増の108件で、過去最多となった。00年度の調査開始以降、100件を超えるのは初めて。燃料や資材費が高騰し、中小企業を中心にコスト上昇分を価格に転嫁できずに経営が圧迫されたとみられる。負債総額は、小規模な倒産が多かったことから同15.1%減の208億円だった。
 業種別では、「建設」が3.8%増の27件と前年度に続いて最多。資材価格の高騰や深刻化する人手不足などが響いた。次いで「運輸・通信」が75.0%増の21件。燃料価格の高騰に加え、ドライバーの時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」も背景にあるとみられる。「小売」(19件)、「製造」(17件)、「その他」(11件)、「卸売」(10件)、「サービス」(3件)と続いた。
 同支店が2月に実施した調査では、上昇したコストのうち企業が販売価格に転嫁できた割合(価格転嫁率)は38.6%にとどまった。残る約6割は自己負担している計算で、取引先からの反発や消費者離れを恐れ、値上げをためらう動きが強まっている。同支店は「企業がコスト上昇に耐えられなくなっており、物価高倒産は今後も増える」との見方を示した。