副主席による洪水被災地慰問の意味

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第291回)

 『人民日報』2025年7月30日 付4面に「政治責任を徹底的に履行し、人民の生命と財産を全力で保護する(全面圧実政治責任 全力保障人民生命財産安全)」という記事が掲載されました。これによれば、中国共産党中央政治局委員であり、国務院副総理の張国清氏が洪水などの被災者や地方幹部などを訪問し、「人民の生命財産安全を最優先に置く」と強調し、政治責任の徹底的な履行、行方不明者や孤立した人々の全力での捜索救助、脅威にさらされている住民の迅速な避難安置などを約束したとのことです。また、この際に、習近平・総書記の命を受けての訪問であることも強調したそうです。
 実際にここで述べられた政治責任の徹底的な履行がなされるかは分かりませんが、このように力強く述べる点は日本も見習う必要があるかもしれません。もしこの言葉が本当に実現するのであれば、洪水の原因となる関係部署にいた者は左遷され、政治的闘争になる可能性があります。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。