習近平が「家庭・家庭倫理の建設」重視
2025年05月16日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第269回)
『人民日報』2025年5月14日付11面に「現代中国家庭のルーツを築く(筑牢中国式现代化家庭根基)」という記事が掲載されました。「天下の基礎には国があり、国の基礎は家庭にある」という言葉を引用し、中華民族の伝統的な家庭の美徳は、中華民族を支える重要な精神的力であり、家庭文明の建設にとって貴重な精神的財産だと説いているそうです。そして、習近平・総書記の「家庭と家庭倫理の建設を重視する」という重要な説示を深く研究・実行し、新時代の家庭と家庭倫理の建設の質の高い発展をいかに促進するかということが最近の中国の一部での話題なのだそうです。
どこの国でもみられた例ですが、国家の状況がまずくなると、家族の大事さを国家権力は訴えかけてきました。国家の状況がよくないため、暴動などを起こそうとする人がいても、暴動は捕まれば極刑になる可能性があり、家族のことを考えれば暴動を起こすことはできないはずだという理屈です。意外と現在の中国当局にもそのような危機感があるのかもしれません。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。