「特色ある社会主義」と司法の保障

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第298回)

 『人民法院報』2025年8月26日付1面に「中国式現代化の重慶における新たな章を力強く書き上げるための強力な司法保障を提供(為備力譜写中国式現代化重慶編章提供有力司法保障)」という記事が掲載されました。8月22日に重慶市全市法院業務会議が開催され、重慶市党委員会書記の袁家軍氏が行った講話について述べられています。講話では「習近平法治思想を全面的に貫徹し、習近平総書記の重慶視察における重要な講話と指示の精神を深化・着実に実行し、党の絶対的指導を堅持・強化し、断固として中国の特色ある社会主義法治の道を歩み、人民を中心とした司法理念を深く実践し、犯罪を処罰し、人民を保護し、争いを裁き、公正を維持するという職責と使命を忠実に果たし、中国式現代化の重慶の章を力強く書き上げるための強力な司法保障を提供すべきだ」と強調したとのことです。
 この中でも、中国の特色ある社会主義が特に強調されているようですが、具体的にはどのように法を運用したいのか全く言及がありません。最近の中国は「中国の特色ある社会主義」を強調していますが、その具体的内容は決まっていないのではないでしょうか。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。