「流動する中国は力強く前進」しているのか
2026年10月07日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第407回)
『人民日報』2026年10月6日付1面に「流動する中国、力強く前進(流動中国 蓬勃向上)」という記事が掲載されました。この記事によれば、10月1日の国慶節(中国の建国記念日)の連休の最初の5日間で、地域をまたぐ人の移動量は延べ約15億5000万人に達し、1日平均3億人が移動したとのことです。流動する中国の熱気は高まるばかりとしています。特に、10月1日の全国の鉄道旅客輸送量は延べ2520万4000人に達しました。1日の旅客輸送量として過去最多を記録し、習近平・総書記は「安全・便利・高効率・環境配慮型・経済的・包摂的かつ強靭(きょうじん)な持続可能な交通システムを構築することは、経済・社会の質の高い発展を支え『人々が快適に移動し、物資が円滑に流通する』という素晴らしいビジョンを実現するための重要な取り組みである」と述べたとのことです。
しかし、2025年の国慶節・中秋節の10月1日~8日の連休には1日あたり延べ3億400万人が移動したとしていました。同年の国慶節は、2026年よりも長い連休となっており本質的には単純比較はできません。しかし、単純比較した場合、1日当たりの移動人数は、去年より400万人減っているということになっています。これは本当に中国を流動する人の数が力強く前進していると言えるのでしょうか。習近平・総書記が言うような流動は起こっていないように思えます。
とはいえ、移動人数が減ったと言っても3億人中400万人なので、そこまで大きく減ったというわけではありません。しかし「力強く前進」というのは明らかに誇張表現と言えます。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


