「グリーン特区」指定法人に

野田和宏・日本触媒社長(左)、服部誠太郎・福岡県知事

 福岡県は12月22日、化学メーカーの日本触媒(大阪市)に「グリーンアジア国際戦略総合特区」の指定法人書を交付した。同特区は環境に配慮した製品の開発・生産拠点を構築するため、県と北九州・福岡市が推進。同社は電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池の性能を上げる電解質「イオネル」の新工場を北九州市に新設予定で、税制優遇措置が受けられる。
 日本触媒は今年4月、北九州市若松区の響灘地区に「イオネル」の新工場を建設することで同市と立地協定を締結。2026年1月に着工し、28年7月の本格稼働を目指す。投資額は375億円。新規雇用は約50人を見込む。イオネルは従来品に比べ、リチウムイオン電池の寿命を1.6倍に延ばす特性があるという。同社は13年に世界で初めて量産技術を確立し、国内で年間300トンを生産している。新工場の稼働で生産能力は年間3000トンに増える見通しで、全てEVに使った場合、21万台分に相当するという。
 11年12月の同特区指定以降、今回で特区の活用企業は84社、設備投資の累計額は約5390億円、新規雇用は約3050人となった。