離島製糖業の難課露呈も解決策見当たらず

沖縄の離島にとって数少ない基幹産業の一つサトウキビ産業が危機に直面している

 本島唯一の製糖工場、ゆがふ製糖(うるま市)の施設建て替え費に、国の補正予算債を充てる「ウルトラC」(製糖業関係者)で基幹産業への大打撃をギリギリで回避した問題から半年余り。当時、行政担当者や事業者らは口々に「沖縄の製糖業を巡る根本的な課題が解決したわけではない」と発言していたが、この不安が現実のものになっている。
 新たな課題が露呈した発端は地元メディアが7月1日、JAおきなわ(那覇市)が指定管理する製糖工場のある5町村に対して、年間数千万円から数億円に上る赤字補填を求めていると報じたこと。翌日には伊平屋村議会が臨時議会を開き、村がJAおきなわに6500万円支払う調停案を提出したものの否決されたことも不安が拡大する一因となった。また同日には、県離島振興協議会が黄川田仁志沖縄担当相と面談し、黒糖工場の経営安定化に向けた支援を求めた。
 一連の動きを受けてJAおきなわの安仁屋行正理事長は7月の定例会見で、2018年度から赤字経営に陥り、赤字の累積額が5工場で34億円に上ることを改めて言及。25年度は県から計9億円の補助金が交付されたことを説明した上で「5町村に赤字補填を要求したわけではない。今の状況が続けば、撤退せざるを得ないということ。町村と共に国や県に支援を要請したい」などと述べた。この発言は、それまでの報道内容がJAの意向とは異なることを示したが、撤退も視野に入れざるを得ないほど経営環境が厳しい状況にあることを改めて示した。
 JAおきなわは、伊平屋、伊江、粟国、小浜、与那国の黒糖製糖工場を指定管理しているが、各工場の生産量は採算ラインとされる年間約1万㌧を大きく下回っている。JAおきなわによれば、5工場の25〜26年期の原料処理量は前期比9・3%減の2万783㌧だった。昨年は伊平屋を除くすべての工場が赤字で、特に粟国はJAおきなわが指定管理を始めて以降、赤字が続いているという。さらに、最低賃金の上昇を要因として、10年前には時給700円台だったが、現在は1300円以上と急騰しコスト上昇の要因となっている。24年度から製糖業でも導入された働き方改革に伴う交代制の見直しにより、2割程度の増員が必要となったことも課題となっている。
 サトウキビは収穫後の劣化速度が早く、新鮮な原料を早期に圧搾する必要があるため、複数の離島に工場を集約することは難しいとされる。さらに、県内離島の工場が生産するのが黒糖の原料となる含蜜糖であることも解決を難しくしている。JAおきなわは、白砂糖の原料となる分密糖の「糖価調整制度」並みの補助事業を求めているが実現にはハードルが高い。糖価調整制度は海外産の安価な輸入糖から徴収する調整金を資金源としており、食料安全保障の観点から国内の砂糖が保護されている。一方、含蜜糖の場合、沖縄振興の観点から内閣府の予算を県が活用する「含蜜糖(黒糖)生産条件不利補助対策事業」が充てられるが、生産コストと販売価格の差額を補えない。国の判断で事業が打ち切られるリスクがある点も問題だ。しかし、分蜜糖と含蜜糖では流通量が大きく異なることなどを理由に、同じ制度を利用するのは難しいという。課題解決の糸口が見つかるのか注目される。