「社会主義現代国際大都市」上海

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第350回)

 『人民法院報』2026年3月4日付1面に「上海が世界に影響力を持つ社会主義現代国際大都市へと発展するための、確固たる司法の保証(為上海建設具有全球影响力的社会主義现代化国際大都市提供堅実司法保障)」という記事が掲載されました。これによれば、黄立新・全国人民代表大会副代表、上海市人民代表大会常務委員会委員長が「2025年、上海法院は習近平主席の『新時代の中国の特色ある社会主義思想』の指針を堅持し、習近平主席の法治思想と政治・法律活動に関する重要な指示の精神を徹底的に実行し、『新時代における裁判活動の強化に関する中国共産党中央委員会の意見』を真摯(しんし)に実行し、司法裁判の実務と密接に連携し、大局への奉仕、人民への奉仕、そして法治へのコミットメントを深化・強化し、質の高い司法のあり方を提示した」としています。
 これに対し、特に印象に残った上海法院の行動は4点あったと述べられています。その一つ目は、上海の「五つのセンター」建設の推進において新たな成果を示したことです。法治ビジネス環境構築特別行動計画を8年連続で推進するとともに、自由貿易区におけるオフショア人民元債券に関する法的リスク・ストレステストの実施など、一連の革新的な制度と改革措置を導入し、革新的な金融業務が国際ルールに適合できるよう支援しました。このメカニズムは「上海市国際金融センター建設推進条例」に盛り込まれました。
 特に印象に残った上海法院の行動二つ目は、ハイレベルな対外開放を支援するための新たな措置を打ち出したことです。上海法院は「国際商事紛争解決の優先拠点」という位置づけに基づき、上海国際商事法院の質の高い発展を推進し、国際基準に適合した革新的な商事紛争解決メカニズムを模索。「上海市国際商事仲裁センター建設推進条例」を誠実に施行し、アドホック仲裁の模索と実践を積極的に支援し、国内初のアドホック仲裁合意の有効性確認事件を法的に終結させたと述べられています。
 特に印象に残った上海法院の行動の三つ目は、浦東新区における法律・法規の革新的な適用において新たな進展が見られたことです。浦東新区における法律・法規の司法適用支援メカニズムが積極的に整備され、破産手続き、営業秘密保護、商事調停など、浦東新区のいくつかの法規について実施規則が策定され、司法実務における革新的な規定の詳細な実施が効果的に促進されたとしています。
 特に印象に残った上海法院の行動の四つ目は、全プロセス人民民主の実践において新たな雰囲気が醸成されたことです。人間中心の開発理念が深く貫かれ、雇用、住宅、医療、女性、児童、高齢者の権利利益に関わる事件は法に基づいて裁かれています。新時代の「楓橋経験」を推進し、紛争や争議の多様化と実質的な解決を促進し、質の高い裁判と利便性の高い手段で人々の関心に積極的に応えているとのことです。
 もっとも、これらのことが実践されても、社会主義現代国際大都市になれるのかは、明確ではありません。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。