国内初「浸透圧発電」稼働

海の中道奈多海水淡水化センター(通称まみずピア、福岡市東区)

 福岡市は8月5日、海の中道奈多海水淡水化センター(通称まみずピア、東区)で、海水と淡水の塩分濃度差によって生じる浸透圧を利用した「浸透圧発電」を始めた。浸透圧発電の実用化は日本で初めて、世界でもデンマークに次いで2例目という。年間発電量は88万キロワット時を見込み、一般家庭約290万戸分に相当する。センターで使う電力の一部をまかなう。
 福岡地区水道企業団(同市)と水処理プラントメーカーの協和機電工業(長崎市)の共同事業で、総建設費は約7億円。浸透圧発電は、海水と真水を浸透膜で隔て、塩分濃度が薄い真水側から濃い塩水側に水が移動する際の運動エネルギーを利用して発電用のタービンを回す。今回の設備では、海水を真水に変える過程で排出される濃縮海水(塩分濃度約8%)と、近隣の和白水処理センターから出る下水処理水を活用する。将来的に通常の海水(同約3.5%)を使った発電の実用化を目指すとしている。
今後5年間で機器の劣化や設備寿命などのランニングコストを検証する。