習近平思想と都市計画
2025年09月03日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第300回)
『人民日報』2025年8月29日付1面に「中共中央および国務院による都市の高品質発展推進に関する意見(中共中央国務院関于推動城市高質量発展的意見)」という記事が掲載されました。これによれば、8月15日に同名(「中共中央および国務院による都市の高品質発展推進に関する意見(中共中央国務院関于推動城市高質量発展的意見)」)の通知が発出されたとのことです。
この通知は「都市は現代化建設の重要な担い手であり、人民の幸福な生活のための重要な空間である。中国の都市化は急速な成長期から安定した発展期へと移行しつつあり、都市発展は大規模な増量拡大段階から、既存ストックの質的向上と効率化を主とする段階へと転換している。都市発展方式の転換を加速し、都市の高品質発展を推進するため、以下の意見を提出する」としています。さらに、全体的な意見として「習近平新時代中国特色社会主義思想を指針とし、……習近平総書記の都市工作に関する重要な論述を全面的に貫徹し、……革新的で 住みやすく、美しく、強じんで、文明的で、スマートな現代的な人民都市の建設を目標」とするのだそうです。
都市計画にも習近平思想が必要というのはよく分かりませんし、革新的で、住みやすく、文明的で、スマートな都市というのは誰もが目指すものでしょう。結局、この通知も、土地計画にも「習近平総書記の思想が重要なのだ」と言いたいだけのように思えます。そして、その具体的な思想の重要性はよく分からない(通知を発出した者も、よく分からないことは分かっているけれども、それは言えない)ように思えます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。