人民法院の「シルバー世代」対応
2025年10月29日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第316回)
『人民法院報』2025年10月28日付5面に「訴えれば、司法は民のために“シルバー世代”を置き去りにしない(如我在訴,司法為民不忘“銀発族”)」という記事が掲載されました。これによれば、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議で審議・採択された『国民経済・社会発展第15次五カ年計画策定に関する中共中央の提案(中共中央関于制定国民経済和社会発展第十五個五年規画的建議)』は、高齢者の生活保障と社会貢献の推進について述べています。
そして、2024年末時点で中国の60歳以上人口は3億1000万人を超え、総人口の22.0%を占めており、この「シルバー世代(銀発族)」が司法に来た時、人民法院(裁判所)はどう対応すればよいのか、老人のよろめく足取りに真に寄り添えるのかと続けています。
そして、さらに浙江省衢州市の法院(裁判所)では、「シルバー世代」のために柔軟な対応をしており、臨時法廷を農家の中庭に設けたり、判決文に文字が大きい版を用意したり、裁判官は一般人に分かりやすい言葉を使ったりして、高齢者にも優しい社会をつくろうとしているとしています。
今回は浙江省衢州市の事例ですが、これから超高齢社会になる中国では、このような対応をする法院が増えてくるものと思われます。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


