中国にとっての香港経済
2025年11月07日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第319回)
『人民日報』2025年11月5日付3面に「何立峰氏が香港国際金融リーダー投資サミットでビデオメッセージを発表(何立峰在香港国際金融領袖投資峰会上発表視頻致辞)」という記事が掲載されました。これによれば、香港国際金融リーダー投資サミットが11月3日から5日まで香港で開催され、中国共産党中央政治局委員で国務院副総理の何立峰(かりつほう)氏がビデオメッセージを発表したとのことです。このビデオメッセージで何氏は、習近平国家主席は香港の発展を常に心にかけており、中央政府の支援のもと、香港は祖国を背に世界とつながるという強みを十分に発揮し、国家の改革発展に独特かつ重要な貢献を果たすと述べたそうです。
中国の経済発展を根拠に、中国政府にとっての香港の価値は大きく下がっているという主張がある一方、倉田徹=小栗宏太(編著)『香港と「中国化」――受容・摩擦・抵抗の構造』(明石書店、2022年)70頁などは、中国経済の方が強大となっても、香港の国際金融センター機能は中国にとっていまだ必要であると指摘しています。何氏のメッセージが本音であるとすれば、同著書の論などを中国政府が認めた格好となるでしょう。
●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。


