「次世代革新炉」開発・設置検討
2025年05月20日
九州電力

九州電力(福岡市)は5月19日、従来の原子力発電所より燃焼効率や安全性が高いとされる「次世代革新炉」の開発と設置を検討すると発表した。2035年度までのグループ経営ビジョンに、二酸化炭素(CO2)の削減に向けた取り組みの一環として盛り込んだ。敷地に余裕がある川内原発(鹿児島県薩摩川内市)での増設を念頭に置いているとみられる。
川内原発では19年度稼働を目指して3号機の増設計画があったが、東日本大震災後に凍結されている。政府が今年2月に閣議決定したエネルギー基本計画では、原発を最大限活用すると明記。原発の廃炉を決めた電力会社が別の原発敷地内に建設することを「建て替え」として容認した。建設できるのは次世代革新炉としている。九電は現在、玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)と川内原発1、2号機の4基を稼働させている。一方、玄海原発1、2号機は廃炉作業を進めている。
次期社長に内定している西山勝取締役常務執行役員は会見で「技術的な検証も含めて次世代革新炉に関して検討を進めていく必要がある」と述べた。九州では半導体関連の工場やデータセンターなどの建設が相次いでおり、電力需要の増加が想定されている。経営ビジョンでは25〜35年度に約2兆5000億円を投資し、このうち脱炭素投資は1兆5000億円。再生可能エネルギー販売量を23年度比37%増の370億キロワット時に拡大するほか、原発の利用率向上を高める。成長が見込まれる都市開発や海外事業、情報通信技術(ICT)事業なども強化。連結経常利益を30年度に1800億円、35年度に2000億円以上を目指す。