「価格転嫁率」過去最低の36.9%
2025年09月16日
九州・沖縄企業

帝国データバンク福岡支店は、価格転嫁に関する九州・沖縄企業の実態調査をまとめた。調査は7月に実施し、881社から回答を得た。コスト上昇分を販売価格やサービス料金に転嫁できた割合(価格転嫁率)は36.9%で、前回調査(2月)から1.7ポイント低下し、調査開始以来最低となった。人件費上昇などの転嫁が進んでいないことに加え、消費者離れを恐れて値上げをためらう動きが一段と強まっている。
業種別の価格転嫁率は「卸売」の47.4%が最高だったが、前回調査から5.3ポイント低下。次いで「製造」(43.9%)が4割台で、「金融」(37.5%)、「建設」(37.5%)、「小売」(35.8%)、「運輸・倉庫」(32.0%)が3割台で続いた。一方で「サービス」(23.2%)が最も低く、「農林水産」(24.0%)、「不動産」(28.3%)が2割台で、消費者に近い業種では継続的な価格転嫁が難しいことが浮き彫りになった。
多くの企業が価格転嫁に苦戦し、自社で負担を吸収していることが明らかになった。企業はコスト上昇の根拠を明確に示し、顧客に価格転嫁の理解を求める努力を続ける必要があると同時に、政府や業界団体にも公正な取引慣行の推進や制度的な支援が求められる。同支社は、物価上昇に賃上げが追いつき、企業と消費者が価格転嫁を継続的に受け入れる環境の醸成が日本経済全体の健全な成長に不可欠だとしている。