「米中経済貿易関係白書」を発表

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第259回)

 『人民日報』2025年4月10日付1面に「中国《米中経済貿易関係のある問題に関する中国の立場》白書を発表(中国発布《関于中美経貿関係若干問題的中方立場》白皮書)」という記事が掲載されました。これによれば、国務院新聞弁公室が4月9日に「米中経済貿易関係のある問題に関する中国の立場(関于中美経貿関係若干問題的中方立場)」という白書を発表したとのことです。この白書の主な内容は「米中経済貿易関係の本質は互恵・ウィンウィン関係である」「中国は米中経済貿易協定の第1段階を真剣に履行している」「米国は米中経済貿易協定の第1段階の関連義務に違反している」「中国は自由貿易の理念を実践し、世界貿易機関(WTO)のルールを真剣に遵守している」「一国主義と保護主義は二国間の経済貿易関係の発展を損なう」「アメリカは対等な立場での対話と互恵・協力を通じて経済貿易の不一致を解決できる」というものです。その上で、中国とアメリカは、対等な対話と互恵協力を通じて、経済貿易上の意見の相違を解決することができるとも述べています。そして、白書には46年前に中国とアメリカが国交を樹立して以来、二国間の経済貿易関係は発展を続けてきたとも書かれているそうです。
 中国側は、アメリカの関税政策に対し「関連義務違反」などと述べ批判しています。しかし、その一方で「互恵関係」や「二国間の経済貿易関係は発展を続けてきた」と、本当はアメリカとうまくやっていきたいという思惑があるようです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。