“スピード重視”の人民法院業務

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第239回)

 『人民法院報』2025年1月27日付1面に「最高人民法院、2024年の司法審判業務に関する主要データを公表(最高法公布2024年司法審判工作主要数据)」という記事が掲載されました。これによれば、司法業務の全体状況について人民法院は、「各司法事件において、国民に公平と正義を感じさせるよう努力するという目標を緊密に守り、その主要な任務と責任を重視し、法律に基づいてあらゆる事件を公平に裁いた」とのことです。さらに、事件の受理件数の総数は4600万件を超え、前年同期比で1%近く増加し、増加幅は前年同期比で大幅に低下。結審件数は前年同期比で増加し、なかでも訴訟前調停での成功件数は前年同期を上回って1200万件を超えたことが記されています。そして、2024年12月末までに、全国の裁判所に1年以上係属した訴訟事件は前年同期比で3分の1以上減少しており、現在進行中の長期係属訴訟事件の一掃は大きな成果を上げているとしています。
 中国の裁判所はスピード重視政策を取り、それがある程度成功しているようです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。