北九州市に「EV電池材料」工場

野田和宏・日本触媒社長(左)、武内和久・北九州市長

 化学メーカーの日本触媒(大阪市)は4月7日、北九州市若松区の響灘地区に電気自動車(EV)向けリチウム電池材料の工場を建設すると発表した。同日、同市と立地協定を結んだ。同社は昨年9月、福岡県内に新工場を建設することを発表していた。同県では大手自動車の電池工場新設計画が進んでおり、増産体制を整える。2026年1月に着工し、28年7月の本格稼働を目指す。投資額は375億円。新規雇用は約50人を見込む。
 新工場の敷地面積は約6万5000平方メートル。生産するのは、電池用電解質の「リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド( LiFSI)」。従来品に比べ、リチウムイオン電池の寿命を1.6倍に延ばす特性があるという。同社は13年に世界で初めて量産技術を確立し、国内で年間300トンを生産している。新工場の稼働で生産能力は年間3000トンに増える見通しで、全てEVに使った場合、21万台分に相当するという。
 国は蓄電池の生産能力強化を進めており、トヨタ自動車や日産自動車などに加え、同社も助成対象に選ばれた。新工場建設に対し、国が最大125億円、北九州市が最大10億円を助成する。