日産の供給網「福岡に522社」

 帝国データバンク福岡支店がまとめた日産自動車系列のサプライチェーン(供給網)実態調査によると、福岡県内は522社だった。同県苅田町には生産子会社の日産自動車九州や日産車体九州の工場が立地しており、東京や愛知、神奈川などに次いで全国で10番目に多かった。日産は2025年3月期連結決算で約6700億円の最終赤字を計上し、生産体制の見直しを進めている。同社の経営不振を受け、同支店は「今後はサプライチェーン企業の優勝劣敗が進むことも想定される」と指摘している。
 福岡県では、日産と直接取引を行う「1次取引先」は28社、1次取引先と取引を行う「2次取引先」は319社、「3次取引先」以降は175社。売り上げ規模別では1億円以上10億円未満が53.8%で最多。1億円未満が23.0%、10億円以上100億円未満が19.0%で続いた。直近決算(2024年1月以降)で「増収」企業は45.2%で、前期から8.4ポイント低下。一方で「減収」企業は29.7%と前期比3.1ポイント上昇している。
 サプライチェーンの業種を細かくみると「受託開発ソフトウエア業」「自動車部分品・付属品製造業」「金型・同部分品・付属品製造業」「金属プレス製品製造業」「工業用プラスチック製品製造業」「一般貨物自動車運送業」など。技術開発をめぐる競争が激化していることに加え、米トランプ政権による関税政策で先行き不透明感も増しており、自動車関連産業の動向がこれまで以上に注目されている。