「労働組合」創立100周年
2025年04月30日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第264回)
『人民日報』2025年4月28日付1面に「新たな旅路で労働者の歌を歌う——中華全国総工会創立100周年記念に寄せて(唱响奮進新征程的労働者之歌——写在中華全国総工会成立一百周年之際)」という記事が掲載されました。この記事によれば、2025年は中華全国総工会(中国の労働組合の総元締め)創立100周年にあたるそうで、習近平・総書記は「中国の労働運動の大義は党の指導の下で発展してきたものであり、中国の労働組合は中国共産党の指導の下での労働者階級の大衆組織である」「労働組合は党と労働者大衆との架け橋であり、結びつきであり、社会主義国家権力の重要な社会的支柱である」と指摘したとのことです。
中国にとって、労働運動とは、現在の労働者の処遇改善のための運動というわけではなく、労働者主体の国家を目指す共産主義運動であるという前提は変わりませんし、現在もそれを目指す国家になっているようです。しかし、どこまでが名目上のことなのかは見極めが必要でしょう。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。