AI開発の実証効果を強く要望
2025年05月02日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第265回)
『人民日報』2025年4月30日付1面に「習近平、上海訪問で強調:世界に影響力を持つ科学技術イノベーション高地の建設を加速(習近平在上海考察時強調:加快建成具有全球影响力的科技創新高地)」という記事が掲載されました。これによれば、4月29日に習近平は上海で、人工知能(AI)製品の体験ショップを訪問したということです。そして、上海は国際科学技術イノベーションセンターを建設するという歴史的使命を担っており、国家戦略をけん引するチャンスをつかみ、科学技術イノベーションの発信源機能とハイエンド産業の先導機能を絶えず強化し、世界に影響力を持つ科学技術イノベーションの完成を加速させると強調したということです。そして、さらに、AI技術の加速度的な反復は爆発的なイノベーションを先導しており、上海は大規模なモデル産業生態系を持つAI産業のインキュベーションの成功経験を総括し、探査努力を高め、あらゆる面でAI開発とガバナンスの最前線に立ち、実証効果を生み出すよう努力すべきだと指摘したということです。
現在、日本は中国にAI技術などでは後塵を拝しています。そんななか、習近平が主張する「AI技術の加速度的な反復は爆発的なイノベーションを先導」するか否かはさておき、これ以上、中国のAI技術が進歩したら、日本の技術はより世界の中で埋没する可能性が高くなります。今後、中国のAI産業も注視したいところです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。