2008年11月号172ページに掲載

【Q】熟年者の恋愛
 私は今65歳で、やっと高齢者の仲間に入ったとはいえ、まだまだ心身共に若者の気持ちです。夫に先立たれて10年、二人の子供も立派に成長し現在一人住まいです。3年前からお付き合いをしている資産家の彼(70歳)から、プロポーズされました。いまさら再婚などと考えもしていなかったのですが、彼からは、籍を入れずに同棲して夫婦同然の生活ができないかと言われています。私もそれで良いとも考えていますが、私の今後の老後の生活が心配です。籍を入れないと私の立場はどうなるのでしょうか?



【A】  子供を成長させたあとの老後は、夫婦二人で仲良く悠々自適の生活をしたいですね。独居老人の老後を豊かに生きるためにも、再婚できるパートナーが見つかれば最高でしょう。
 しかし、老人の再婚問題は、近い将来の相続問題がからみ、各配偶者の子供たちと確執を生じかねません。その辺を考えて、あえて籍を入れずに同棲(内縁関係)をするとの提案がなされたものと思います。近時、内縁関係も法的に保護されてきていますが、正式な婚姻関係にある妻の座に比べて法的安定性に欠けます。
 大きな違いは、彼が死亡した場合、あなたに相続権がないことです。内縁の妻は、その夫に対し、同居・協力・扶助、貞操などの義務を尽くすよう求めることができますし、また、内縁関係が解消された場合は共有財産を精算するよう請求できますが、相続については、遺言書があれば格別、夫に相続人がいない場合に限り、特別縁故者として遺産の分与を受け得るのみです。
 老後を豊かに楽しむために、二人で共に助け合う関係が望ましいのです。しかし、彼がぼけ老人や寝たきり老人となった場合、彼の介抱をする立場になったあなたに直接の負担がかかり法的にあなた自身が保護されないことも考えられます。そこで、彼があなたの老後のことを考えてくれるのであれば、以下の点を条件としてみてはいかがですか。内縁開始後判断能力があるうちに、
 (1)彼が認知症となった場合に備えて任意後見契約を作成し、彼の財産から婚姻費用として一定額の支給を受けること。
 (2)遺言公正証書を作成し、あなたの老後の暮らしができる程度の財産の遺贈を受けること。
 以上について考えてみてください。
 ただし、任意後見契約も公正証書にて作成する必要がありますので、弁護士に相談する方が良いでしょう。

弁護士 羽田野 節夫
 1948年(S23)年6月生まれ。九大法卒、81年弁護士開業。

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