2008年11月号138ページに掲載

ゴルフ知恵袋

バンカーはオープンに構えてカット打ち?

●金谷 多一郎
(かなたにたいちろう)
 1960年生まれ。アマチュア時代に輝かしい実績を残し、日本大学卒業後の84年プロ入り。プロ通算1勝。明確なスイング理論と、わかりやすい解説が人気。著書多数。
 ツアープロのコーチングも務め、多数のプロを優勝に導く。95レッスンオブジイヤー、97年ベストティーチャー賞。
 夏、猛暑で蒸し暑い日本を脱出して、今年も例年のように欧州へ仕事で出かける機会に恵まれました。時期は8月中旬から月末までです。この時期の欧州は初めてでしたが、経験してみて1度でファンになりました。
 毎年フランスをベースに動いているのですが、まずこの時期のフランスはサマーバケーションでパリの街はガラガラです。お盆の時期を過ぎると飛行機の予約状況も空いてきて料金も格安になってきますし、ゴルフ事情も、バケーションで出かけてしまったメンバーが多いため、パブリックコースだけではなくメンバーコースでも、コースはガラガラ。そのためプレー料金も超格安です。爽やかな初秋の気候の中、しかもこの時期はまだサマータイムで日暮れも午後9時過ぎなので、好きな時に好きなだけのプレーができます。時間がありさえすれば、ゴルフと観光を合わせたツアーやゴルフ合宿には最高の条件です。いやはやゴルフ天国を意外なところで見つけてしまいました。
 今回のスケジュールはパリでの仕事を終えた後はウィーンからザルツブルグ、ミュンヘンと回って、フランクフルトで行なわれました。アルプスに見下ろされるコースもグリーンが鮮明できれいでしたし、フランクフルト近郊のシャトーホテルのゴルフ場も箱庭のようで気品がありすばらしかったです。それもそのはず、ここはかつて華やかなりし頃の大英帝国、ヴィクトリア女王が2度も滞在したホテルだそうです。
 ゴルフにおいて、いろいろな初体験をした今回でしたが、その土地の事情に合ったコースコンディションはどれも見事でしたが、プレーにおいては芝の種類などコースセッティングの条件が様々だったので、それに合わせたプレーをするのが大変でした。特に感じたのがグリーンとバンカーです。バンカーにいたってはこんな砂の種類があるのというぐらいコンディションが違うので、スピンコントロールや距離感をつかむのに苦労しました。海外を転戦するにはサンドウェッジの仕様の違うスペアは絶対に必要ですね。
 バンカーショットといえば、多くのゴルファーの方々が苦手意識を持っていらっしゃるようです。オープンスタンスに構え、フェースを開いて左ヒジを抜いてカットに打つ。たびたび耳にする言葉ですが、この意識がバンカーショットを失敗してしまう大きな要因になってしまっていると思います。
 フェース面でクリーンにボールをヒットしないバンカーショットでの真実は、フェースとボールの間に砂が挟まるためにフェースの向きに関係なくクラブヘッドが動く軌道の方向。つまり砂が飛んでいく方向にボールは打ち出されるということなのです。これをまず理解できれば、バンカーショットはグッと簡単になるはずです。
 ではバンカーショットでフェースを開くのはなぜか。サンドウェッジにはソールにバンスの角度がついているためにスクェアに構えていても、そのバンスの効果でヘッドを砂に打ち込んでも深く入りすぎないで、自然に振り抜けるようになっているのですが、それでもフェースを開く理由は2つあって、1つはロフトをより多くすることで打ち出し角度を高くし、スピン量も多くかけるためです。もう1つはフェース面の向きを軌道に対して正対させずに開くことによって、振り抜く時の砂の抵抗を軽減させるためです。
 したがって、バンカーショットの正しい構え方は、目標方向(落下地点)に対して身体はスクェアに構え、状況に応じてフェースを若干開きます。この開く度合いは、砂の質やライの状態、アゴの高さ、グリーンのコンディションやピンの位置などによって様々です。
 また、このフェースを開く度合いによって、スイングが変わってきます。
 なぜなら、バンカーショットにおいて、ボールを思ったところにコントロールするには、フェースの開き加減と砂を取る量、そしてインパクトのヘッドスピードという三つの要素をその都度の条件に合わせてそれぞれを調整していくことがポイントですから、その調整によってスイングや構え方は変わってくるのです。
 しかし、トーナメントでのプロのバンカーショットは、ピンに対してオープンに構えて打っているように見えると思っている方がかなりいらっしゃるのではないでしょうか。
 それはなぜかというと、前述した3つの要素で正しくバンカーショットを行なって、プロの試合が行われる速くて硬いグリーンを攻略するためには、フェースの開く度合いを大きくして、スピン量を増やして打たなければなりません。フェースを大きく開くとバックスピンだけではなくスライス回転のスピンも増えるため落下した時に右にはねるバウンドを想定して打つようになるので、落とし場所をピンの左に設定して構えているだけなのです。
 まずバンカーショットでは、スイングして砂を飛ばした方向にちゃんとボールが飛び出しているかどうかを確認することです。もし右に飛び出してしまっていたら、それはフェースの先の方でボールを捕らえてしまっていると思います。クリーンに打たないバンカーショットでもボールはフェースの芯で捕らえなければなりません。打った後に、フェース面をチェックして、フェース面の真芯のところに砂粒の傷がついていたら、スイング軌道に沿ってボールは正しく打ち出され、最高のスピンがきいて打てているはずなので、是非チェックしてみてください。

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